『パスカル パンセ抄』
ブレーズ・パスカル 鹿島 茂 編訳
ISBN978-4-86410-177-6
株式会社飛鳥新社
「人間は考える葦である」(断章347)(P213)は誰でもが知る有名な一遍であるが、フランスの科学者パスカルの草稿を彼の死後、遺族及び関係者が出版したものである。
この本に関しては、書評も感想も必要ないのではないだろうか。
古典に関しては、「理解する」こと自体無意味な気がしてならない。
「理解する」と言うより「どう感じるか」いかに自分の思考に「深みや幅」を持たせるためのきっかけにするかが重要な気がする。
読んだ回数、読んだ人の数だけ解釈が分かれる。ちょっと表現しにくいのですが、『「知の技法」入門』(河出書房新社)の一節を引用したいと思います。
書物というものは、わかるとわからないの二分法ではないようにできていて、「わからないのにある意味わかる」というところがあったりして、わかることとわからないこととが、互いに排他的になっておらず、時にセットになって感じてくる。書物の中に記された個々の命題の情報的な理解とは別な、何かが起きているからでしょう。『「知の技法」入門』(河出書房新社)(P020)
この引用文は、情報収集のための読むことと書物を読むことの違いを説明したものですが、本書はもちろん後者に属するもので、少なくとも天才と言われた人が書いた本なので、そう簡単に理解できるとも思いません。
難しさを、理解に苦しむ楽しさを楽しんでみてはいかかでしょうか。