『幼児教育の経済学』

『幼児教育の経済学』

~ジェームズ・J・ヘックマン著~

大竹文雄[解説]/古草秀子[訳]

幼児教育の経済学

ISBN978-4-492-31463-0

東洋経済新報社

前に紹介した『「学力」の経済学』は、教育方法全般について書かれたものであるのに対し、本書はその教育時期について言及したものである。

セットで読めば、親御さんの教育方針を決める手助けになるのではないだろうか。

前回と同様だが、書かれていることが「絶対解だ」とは決して思わない事である。

では、気になった部分を引用してみよう。

家庭環境は世代を超えて蓄積される傾向がある。(P11)

浮かんだのは格差問題だ。

はたして解決策はあるのか。

家庭環境しかり格差問題も教育での解決は望めないだろうか。

大半の社会政策を悩ます公平性と効率性との二律背反関係がほぼ存在せず、介入を実施するための税金徴収に多少の死荷重[訳注:課税による失われた費用]があるものの、損失は利益を上回らない。(P35)

参議院予算審議で民主党が3200億のバラマキではなく、例えば大学授業料無償化を対案としていたが、本書での見解と提案(としておこう)である思春期以降の投資は、幼児期(特に就学前の幼児)の投資収益を下回るのであれば、当該議員が提案した対案は詰めが甘いことになる。

私たちの社会が今日必要としているのは、考え方を変えることだ。この先10年あるいは20年を生きる人は、必ずや私たちが子供たちに対する責任を放棄した結果を自分の目で確かめることになるだろう。(P100)

一人一人が建設的な論議が出来るのが民主主義制度の良いところである。

決して、好き嫌いで世の中は動かない。動かしているものは感情だ。

そして、感情をコントロールする術を学ばなければならない。

未来の子供たちのために。

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