『いつも「時間がない」あなたに』欠乏の行動経済学
~センディル・ムッライナタン&エルダーシャフィール著~
大田直子/訳
ISBN978-4-15-209524-4
早川書房
「欠乏は欠乏を生む」(本書第二部タイトル)
そう聞いて、私は「富むものは、ますます富む」と浮かんだ。
私は、時間の使い方についてトレードオフの考えで配分しているが、それでも時間が足りないことはまれに起こり、そのまま何でもかんでも処理しようとすると、やはり破綻する。
「最優先事項」を決め、最良の結果を出すために、良の結果を得られるかもしれないことを切り捨てる。
もちろん、優先順位のつけ方については、得られる果実の大きさのみで判断してはいけないし、優先順位自体にも個々の価値観が影響する。
比べられない仕事と家族・友人との関係など。
ゆとりが残されているとき(十分な処理能力が残っているとき)にどれだけの準備ができるかが勝負になる。
欠乏の理解は、各社会問題の解決にも大いに役に立つ。
「脳の構造上、情動は時に理性をはるかに凌駕する」(詳しくは、「EQこころの知能指数」ダニエル・ゴールマン著を参照ください)
せっかく授かった理性なのだから、視野狭窄(欠乏状態)に陥り、コントロール不能にならないよう備えておきたいものである。